薬師如来像;像高は台座、光背を含めて142cm、材料は樟、寄木造り。
頼んでいた「薬師如来」が出来上がり、1月31日に当院に搬入しました。作者は「川谷昌巳」父親です。
薬師如来について;薬師本願功徳経では、薬師如来は東方浄瑠璃世界(瑠璃光浄土とも称される)の教主で、菩薩の時に12の大願を発し、この世門における衆生の疾病を治癒して寿命を延べ、災禍を消去し、衣食などを満足せしめ、かつ仏行を行じては無上菩提の妙果を証らしめんと誓い仏と成ったと説かれる。瑠璃光を以て衆生の病苦を救うとされている。無明の病を直す法薬を与える医薬の仏として、如来には珍しく現世利益信仰を集める(Wikipedia)。
寄木造りについて;頭体の主要部を二つ以上の材から組み立てる技法。一木造は内刳りを施してもやはり干割れが起こしやすく、像の主要部を一材から木取りするのにどうしても巨木が必要になるが、一つの像を幾つかのブロックに分け、その一つ一つを別材から木取りし、積み木を並べるように組むことで、特に太く大きい木材を使わなくても巨像を造り易くなる。また、干割れの原因となる木心部を取り除いて木取りするのも簡単であり、更に内刳りも各材の広い矧ぎ面から十分に刳ることができ、分業が容易、など長所が多い。寄木造は10世紀後半頃から始まったと見られ、六波羅蜜寺の薬師如来坐像が今知られる最初の例である。11世紀に入るとより合理化・洗練され、特に定朝以降、丈六仏のような巨像の制作に盛んに用いられた。代表的な物に東大寺南大門金剛力士像などがある(Wikipedia)。
作者(父親)に聞いたところでは、仏像が大まかに出来上がった段階で薄ノミを接着面に打ち込み像を分解し、内部をくりぬくそうです。像が軽くなり、干割れにも強くなります。さらに像内部からの細工が可能となります。この薬師如来像も目は内部からガラスを当てる方法が用いられています。薄ノミを当てた部位は少しくぼみますが、水に漬けることで元にもどるそうです。その後乾かして再接着する方法で造られています。
当院での仏像設置は、病気平癒を祈願したものです。宗教的な目的ではありませんので、開眼法要などの仏事は行っておりません。ただし、材料となった木はお寺のそばに生えていた樟で、「念仏を聞いて育った木」だそうです。仏像を彫るにはもってこいの材料だったかもしれません。漆を塗っていますが、樟独特の芳香がかすかにします。
像は待合のあまり目立たない場所に設置しています。職員控室に続く通路の車椅子置き場の上になります。お寺ではなく医療機関ですから、興味のある方のみ見ていただくために、ちょうど良い場所と考えています。