- Common cases
- よくある症例
質問3(野球肘):13歳の男子です。野球部でピッチャーをしています。野球の練習中は特に問題はないのですが、練習後に右肘に違和感を覚えるようになり、最近では練習中にも右肘に痛みを感じるようになりました。我慢すれば野球を続けることができたので様子を見ていましたが、不安になり受診しました。
回答3
投球動作を繰り返すことで肘に痛みが出現しており、いわゆる野球肘です。肘の動く範囲の左右差がないか確認し、押さえて痛い場所を確認します。野球肘にはいろいろな病態が含まれていて、外側では、①上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、内側では②リトルリーグ肘③内側側副靭帯損傷 後方では④肘頭骨端理解・疲労骨折 などがあります。
①は、上腕骨小頭が傷む病態で、種々の程度がありますが、手術をするにしても保存的に治療を行うにしても長期間を要します。当院の場合、まずは手術の適応があるか、基幹病院の手の専門医を紹介し、その後の治療を計画します。
②は肘関節の内側に発生した病態で、成長軟骨が離開したり、骨折を伴ったりします。程度によって、軽いものは局所の安静で良い場合もありますが、ギプス固定が必要になることもあります。また、保存的に治る見込みがない場合には手術が必要になる場合もあります。
③は内側を支えている靭帯の損傷で、損傷の程度、また将来も競技を続けたいかどうかで治療方針が変わってきます。局所安静で普通の生活には支障がなくなる程度には回復しますが、競技復帰には手術が必要になることがあります。大谷選手が受けたトミージョン手術は有名ですね。競技復帰には約1年を要します。
④は程度に応じて、ギプスシーネ固定や手術が選択されます。どの病態も、病状が進まないうちに見つかれば手術をせずに、また競技復帰も比較的早期に可能なことも多いため、病初期に発見することが重要です。肘の動く範囲に左右差がないか、動かす際に痛みがないか確認してください。
野球に限らず、ハンドボールややり投げなど肘に負担がかかる動作を繰り返すスポーツでも発生します。
また、学校検診の運動器検診でも早期発見を目的とした肘のチェック項目があります。整形外科への受診を勧められた際には必ず受診してください。